筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)のPS

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)のPS(Performance Status)について、新型コロナ後遺症・ワクチン長期副反応を4000人診察してきた経験から、解説します。

執筆者(平畑光一)の個人的な見解ですので、あくまで「目安」としてお使いください。

普段、新型コロナ後遺症、ワクチン長期副反応、ME/CFSを診察されていない先生方へ

多くの患者さんたちが、ただ新型コロナ後遺症、あるいはME/CFSだというだけで、診察を拒否されてしまう状況があります。

しかし、下記の記載を見ていただければ分かる通り、負荷に気を付けさえすれば、通常通り診察が可能な疾患です。

どの程度の負荷をかけることができるのか、PSごとにできるだけ詳細に記載しました。

どうか診察拒否などされないよう、よろしくお願い申し上げます。


注:あくまで新型コロナ後遺症・ワクチン長期副反応の診察経験をもとに書いていますので、ME/CFS専門の先生と見解が異なる可能性があります。

  また、一部の患者さんの体感と乖離した記載がある可能性があります。

  暫定版です。

出典:厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 0 倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。

生活上の注意

ほとんど何も気にせず生活することができるレベルですが、念のため禁酒し、無理を避けるようにしておく方が無難と考えます。

医療提供上の注意

健常者と同じ医療を提供して問題ありませんが、運動療法などを施行する場合は、疲労感が出ない範囲にとどめていただくのが良いと考えます。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきかもしれません。

生活療法も、GERDと同じ指導を、できるだけ厳密に守るよう伝えておく方が無難です。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 1 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。

生活上の注意

ちょくちょく疲れを感じるが、休まなくても大丈夫なレベルです。このレベルになって、初めて体を動かす系の仕事が可能になります。

保育士、看護師、ずっと立っていなければいけない接客業、物を運ばなくてはいけない業務などが該当します。

もちろん、このレベルになっても、いかに疲れないように働くか、だるくならないように生活するか、という探求をやめてはいけません。

どうやったら楽をすることができるかを探求するのが「仕事」の一部です。がんばってください。

医療提供上の注意

健常者と同じ医療を提供して問題ありませんが、運動療法などを施行する場合は、疲労感が出ない範囲にとどめてください。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきかもしれません。

生活療法も、GERDと同じ指導を、できるだけ厳密に守るよう伝えておく方が無難です。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 2 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。

生活上の注意

通勤が片道40分以内で、デスクワークなら、たいていは復職できるレベルです。

欲張って片道1時間や体を動かす系の仕事で復職すると、ほとんどの場合、症状が悪化します。

「多少のことは頑張れる」と無理をして悪化させがちなレベルでもあるので、重々注意してください。

軽い運動ならできますが、ジョギングなどはまだ早いです。

したくなりますが、するのは負ける確率の高い博打。

PS1まで回復すれば、比較的安心して動けるようになりますので、もうちょっと我慢してください。

なお、このPS2がPS1になるまでの距離は、治療的にはそれほど遠くないのですが、できることには割と雲泥の差があります。

もうちょっと我慢すればできるようになるのに、待ちきれずに無理をして、一気にPS4くらいまで悪くなるというケースが頻繁にあります。

本当にしんどいと思いますが、頑張りましょう。

症状的には、軽い仕事でも疲れて休まなくてはいけないうちは、PS2以上です。

医療提供上の注意

健常者とほとんど同じ医療を提供して問題ありませんが、運動療法などを施行する場合は、かなり慎重に疲労感が出ない範囲にとどめなければいけません。

6分間歩行検査などは、体調の悪いときに行うことは避けるようにしてください。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきかもしれません。

生活療法も、GERDと同じ指導を、できるだけ厳密に守るよう伝えておく方が無難です。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 3 全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。

生活上の注意

在宅の仕事であれば、たいていの仕事ができることが多いレベルです。

可能であれば、20分仕事をするたびに5分休ませてもらうなどの工夫をするとよいでしょう。

短時間で判断を求められるような仕事、長い面談やミーティングがある仕事だと、難しいことがあると思います。

このレベルでも、画面を見ることがつらい方は結構いて、その場合には、やはり業務が難しい場合が多いです。

通勤が必要な場合でも、歩いて5分の所に事務所があって、3~4時間の事務作業をするだけ、といった場合には、就業が可能な場合があります。

(このあたりはケースバイケースです。)

 

入浴はそれほど問題にならないことが多いかと思いますが、だるくならないように、疲れないように気を付けることが必要なことは変わりません。

また、いろいろと余裕感が出てきて注意が緩みがちになりますが、食事などに気を付けないと、胃酸逆流がひどくなって復職が遠のいたりしがち。

こちらの動画などをよく見て、胃酸対策もばっちりしていきましょう。

あと少しで復職可能なところですので、気を緩めず、頑張ってください。

医療提供上の注意

健常者とほとんど同じ医療を提供して問題ありませんが、運動療法などを施行する場合は、かなり慎重に疲労感が出ない範囲にとどめなければいけません。

ほとんどの場合、散歩が勧められるのはこのレベルまでです。

6分間歩行検査などは、体調の悪いときに行うことは避けるようにしてください。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきかもしれません。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えておくようにしてください。

患者は働けそうな気がして、通勤可の診断書を書いてくれと言ってきがちですが、流されないようにしてください。

たいていは通勤練習をすると無理だということを自覚されます。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 4 全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。

生活上の注意

ギリギリ在宅での仕事が可能になってくるレベルです。

ただし、画面の光が無理、という方は仕事はまず無理かなと思います。

(画面を見ないで済むタイプの在宅の仕事があれば別ですが…)

また、在宅で復職した場合でも、20分作業しては5~10分休むなどの対処が必要なことが多いです。

2時間も集中して続けて作業してしまうと、クラッシュする恐れがあります。

散歩などの運動をしたくなる方も多いと思いますが、博打だと思ってください。

屋外は、帰ってくるのに時間がかかります。

ヤバいと思ってすぐに休めないところに行くのはリスクでしかないので、やむを得ないとき以外は自宅から離れた場所に行かない方がいいです。

「仕事復帰するために散歩をしている」という方も多いですが、見回りの仕事など、歩行することが仕事でない限り、それは社会復帰を遅らせるリスクになることはあっても、早めることにつながりません。

(なお、近くに日光浴スポットがある場合には、積極的に日光浴はしてもいいと思います。)

勉強も同様です。

リモートの授業は受けられると思いますが、リアル登校はかなりリスクになると思います。

入浴はある程度できることが多いと思いますが、だるくならないように、疲れないようにという工夫が必要だと思います。

普通にドライヤーを使うのはまだ無理だと思うので、器具を用いてドライヤーを固定して使うか、ご家族にお願いするかするとよいでしょう。

医療提供上の注意

健常者とほとんど同じ医療を提供して問題ありませんが、運動療法などを施行する場合は、かなり慎重に疲労感が出ない範囲にとどめなければいけません。

一般的な負荷の筋トレをすると高確率で症状が悪化するため、行うことができません。生活に即したものを、疲れない範囲で、繰り返し行うようにしてください。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は推奨できますが、散歩を勧めてはいけません。

胃カメラ、大腸カメラ、超音波などの検査は、問題なく通常通り行うことができると思います。

6分間歩行検査などは、よほどのことがない限り避けてください。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えてください。

患者は働けそうな気がして、「通勤可」の診断書を書いてくれと言ってきがちですが、症状が増悪する可能性が非常に高いので書いてはいけません。

通勤練習もリスクが高すぎてお勧めできません。

在宅の軽い仕事であれば、復職できる可能性が十分にありますので、疑似的に作業をしてみてもらうなどするとよいと思います。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 5 通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。

生活上の注意

家事(皿洗い以上)がある程度できるけど、仕事などは無理、という段階です。

この段階で仕事ができるのは、現場にちらっと顔を出して簡単な指示を出せばいいだけの社長さんくらい。

複雑なことを考えなければいけない場合は、作業時間が短くてもまず無理です。

このくらいの段階で、働きたくなってしまう方が多いですが、よくばってはいけません。

この病気は順番が大事。

回復してからやることを増やしてください。

回復する前にやることを増やすと症状が悪化してしまいます。

シャワーは大丈夫な方も多いかもと思いますが、この段階でも毎日はきついことが多いかと思います。

医療提供上の注意

刺激を避けて医療を提供できたほうがよいですが、それほど神経質になる必要はありません。

一般的な負荷の筋トレをすると高確率で症状が悪化するため、行うことができません。

上肢の運動療法は臥位で簡単なものを行うにとどめ、体幹・下肢の運動を中心に、疲れないように注意しながら行うことが勧められます。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は推奨できますが、散歩を勧めてはいけません。

胃カメラ、超音波などの検査は、できるだけ苦痛なく行う必要があります。

大腸カメラは、大量の下剤を飲むことが負担になるため、臨床的に危険性が高いときのみの施行が無難かと思います。

6分間歩行検査などは、症状が悪化するため、行うことができません。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えてください。

患者は働けそうな気がして、通勤可の診断書を書いてくれと言ってきがちですが、書いてはいけません。

通勤練習もしないようにしてもらってください。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 6 調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。

生活上の注意

調子がいいときなら少し家事(皿洗い程度)ができます。

でも、できるからって、続けて掃除機なんてかけてはいけません。

一部屋掃除機をかけたらしばらく休んで、また次の部屋を掃除して、という感じで、続けて作業をしないようにしてください。

力をこめるのも、やっぱり駄目です。

休む時間は長くとりましょう。できるだけインフィニティチェアか、それに近い形で休むとよいです。

お風呂はまだきつい場合がほとんど。

特に洗髪は負荷が強いので、まだ家族にやってもらう方が安全かと思います。

この段階では、ほとんどの方で何かに集中することが危険です。

パソコンとかスマホとかテレビとか、まだあまり触らない方が安全。

そもそも座っていること自体が運動になってしまう段階だと思います。

座るときは運動になってしまうことを意識して。

今は休むことが仕事で、軽い家事が息抜きです。

筋肉が落ちるのが心配かもしれませんが、軽い家事をするだけで精一杯なのに、筋トレとかは無理。

プロテインを飲んで家事をするだけでも十分筋トレだと思って、気長に取り組んでください。

医療提供上の注意

受診そのものの負荷が無視できなくなってくるレベルです。

患者さんは体調を整えて、必死で来院されていることも少なくありません。

表面上が元気そうでも、帰ってから寝込むことも多いため、「元気そうだ」と軽々に判断してはいけません。

「ウソをついているのではないか」などと思わないようにしてください。(その思いを口に出すなどは、もってのほかです。)

刺激を避けて医療を提供できたほうがよいですが、それほど神経質になる必要はありません。

一般的な負荷の筋トレをすると高確率で症状が悪化するため、行うことができません。

上肢の運動療法は拘縮予防などにとどめ、体幹・下肢の運動を中心に、疲れないように注意しながら行うことが勧められます。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は推奨できますが、散歩を勧めてはいけません。

採血、胃カメラ、超音波などの検査は、できるだけ苦痛なく行う必要があります。

大腸カメラは、大量の下剤を飲むことが負担になるため、臨床的に危険性が高いときのみの施行が無難かと思います。

6分間歩行検査などは、症状が悪化するため、施行してはいけません。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えてください。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 7 身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。

生活上の注意

トイレに行ったり食事をしたり、といったことについては問題なくできる状態です。

ただ、掃除などをし始めると一気に悪化するのでまだ駄目です。

スマホを見る時間も相当制限しないと悪化の原因になりやすいです。

入浴はやはり厳しいです。

髪の毛などはご家族に洗ってもらう方がいいと思います。

食事はある程度摂れますが、やはり相当気を付ける必要があるでしょう。

逆流などもしやすいので、インフィニティチェアで過ごすなどの工夫も必要かと思います。

調子がいいときに家事をしたくなることも多いかと思いますが、基本的には無理です。

ごみ袋などを持つと一気に悪くなったりしがち。

コロナ後遺症(ワクチン長期副反応)は腕を使うと悪くなることが多いため。

力をこめないで生活することを心掛けてください。

たぶん、トイレでいきむのもきついと思います。

お通じが硬くて辛ければ、酸化マグネシウムなどを処方してもらって、お通じを柔らかくするといきまずに済んでいいかもしれません。

医療提供上の注意

受診そのものの負荷が強くなってくるレベルです。

患者さんは少なくとも数日間、体調を整えて、必死で来院されています。

表面上が元気そうでも、帰ってから寝込んでいることがほとんどのため、「元気そうだ」と判断してはいけません。

「ウソをついているのではないか」などと思わないようにしてください。(その思いを口に出すなどは、もってのほかです。)

できるだけ刺激を避けて医療を提供することが推奨されます。

座って待つことが辛い状態です。

診察時、椅子ではなく、診察台で臥位にするだけで、患者さんの苦痛がだいぶ和らぐ場合があります。

一般的な負荷の筋トレをすると高確率で症状が悪化するため、行うことができません。

上肢の運動療法は拘縮予防などにとどめ、体幹・下肢の運動を中心に、疲れないように注意しながら行うことが勧められます。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は光過敏(羞明)がなければ推奨できますが、散歩を勧めてはいけません。

採血、超音波などの検査は、できるだけ苦痛なく行う必要があります。

胃カメラなどの検査は負担になりえますが、臨床的に危険性が高いときは、一時的に症状が重くなる可能性もあると説明したうえで、躊躇なく施行してください。

大腸カメラは、大量の下剤を飲むことが負担になるため、臨床的に危険性が高いときのみの施行が無難かと思います。

6分間歩行検査などは、症状が悪化するため、施行してはいけません。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えてください。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 8 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。

生活上の注意

トイレまでは何とか歩けるが、あとはあまりできない、という状態です。

テレビのリモコンが重かったりします。

ペットボトルのふたなんて絶対開けられないんじゃないかなと思います。

ご家族の介助、理解がないとかなり厳しい。

ない場合は社会の福祉サービスを利用しなければいけないと思いますが、すぐにそういうサービスが受けられる地域ばかりではないと思うので、こういうところも早急に改善が必要と思います。

疾患としては、正しく治療すれば改善の見込みも十分あるので、フルのサービスの利用期間は短く済む可能性が十分にありますから、何とかならんかな、と思うところです。

やはり入浴はかなり厳しい。

場合によっては、介助があればシャワーくらいはできることがあると思います。

あとでクラッシュするようなら、やはり清拭にしてください。

食事はやはりなかなか摂れないことも多いです。

食事も運動なので、なかなか大変かと思います。

医療提供上の注意

受診そのものの負荷が非常に強いレベルです。

患者さんは週間単位で体調を整えて、必死で来院されています。

受診は1か月のメインイベントになっています。

表面上が元気そうでも、帰ってから寝込んでいるため、「元気そうだ」と判断してはいけません。

「ウソをついているのではないか」などと思わないようにしてください。(その思いを口に出すなどは、もってのほかです。)

できるだけ刺激を避けて医療を提供することが推奨されます。

座って待つことが辛い状態です。

ベッドが空いていれば、臥位にしてあげられるとよいです。

診察時、椅子ではなく、診察台で臥位にするだけで、患者さんの苦痛がだいぶ和らぐ場合があります。

臥位での関節拘縮予防の他動運動を行うことが勧められます。

下肢を自分で揺らすといった運動は行うことはできますので、ゆっくり試していただくように推奨してください。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は光過敏(羞明)がなければ推奨できますが、散歩を勧めてはいけません。

採血、超音波などの検査は、できるだけ苦痛なく行う必要があります。

胃カメラなどの検査は負担になりえますが、臨床的に危険性が高いときは、一時的に症状が重くなる可能性もあると説明したうえで、躊躇なく施行してください。

大腸カメラは、大量の下剤を飲むことが負担になるため、臨床的に危険性が高いときは高圧浣腸後の施行とせざるを得ないと思います。

6分間歩行検査などは、症状が悪化するため、トライしてはいけません。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

生活療法も、GERDと同じ指導を、厳密に守るよう伝えてください。

PS ME/CFS診断基準での記載
PS 9 身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。

生活上の注意

ほとんど動けない、トイレすらも厳しい状態です。

おむつや、ベッドサイドのポータブルトイレを利用するような状態です。

体を支えてもらいながら清拭をしてもらうということも多いです。

ひどいときは指一本動かせません。

基本的にはオンライン診療だけで支えるのは厳しく、訪問診療の併用が必須と思います。

が、実際に利用できるかどうかは地域にもよるでしょうし、経済的にきついという場合もあるかもしれません。

こういうところを政治に何とかしてもらわないといけないと常々思います。

本来なら入院して、しっかり鑑別のための検査をして、必要があれば習熟した医師のもとで治療を受けることが望ましいと思います。

が、そういうことができる病院は、日本国内にはそうそうないような気もします。

やってくださるところはぜひ名乗りを上げていただきたいですし、厚労省はそういう研究を推し進めてほしい。

食事も大変だと思います。

流動食がやっとということも多く、命にかかわらないように、どうやってカロリーを確保するか、というのが大事な命題になることも多いです。

医療提供上の注意

もし訪問医療ではなく、「外来」に来られていたら、ほぼ間違いなく「決死の覚悟」で来院されています。

できるだけ心身の負担を避けて医療を提供することが推奨されます。

座って待つことはかなりの苦痛を伴います。

できるだけ臥位(可能ならインフィニティチェアの体勢)にしてあげられるとよいです。

診察時、車イスで来られている場合、診察台で臥位にするための移動も慎重に行わないと症状悪化の原因になりえますので、本人・ご家族の意向をよく確認してください。

関節拘縮予防の他動運動を慎重に行うことが勧められます。

下肢を自分で揺らすといった運動は行うことができることも多いのではないかと考えられますので、ゆっくり試していただくように推奨してください。

(疲労が1~2日後に出ることも多いことに注意が必要です。)

日光浴は光過敏(羞明)がなければ推奨できます。

採血、超音波などの検査は、できるだけ苦痛なく行う必要があります。

胃カメラなどの検査は負担になりえますが、臨床的に危険性が高いときは、一時的に症状が重くなる可能性もあると説明したうえで、躊躇なく施行してください。

大腸カメラは、大量の下剤を飲むことが負担になるため、臨床的に危険性が高いときは高圧浣腸後の施行とせざるを得ないと思います。

6分間歩行検査などは、到底不可能です。

また、胃酸逆流なども症状再増悪の危険因子となりますので、カルシウムブロッカーなどの投与は慎重にすべきです。

食事は流動食などを摂るのが精一杯のことが多いため、そのことに留意した指導にする必要があります。

本ページについては、 CCライセンスの「CC BY-ND」 とし、2022/4/18時点での著作権者は平畑光一とする。

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