コロナ後遺症チートシート(症状別対策一覧表)

このページでは、軽症~中等症の新型コロナ後遺症からの後遺症について、現時点での平畑光一の個人的な見解に基づいた対策法などを公開します。

医療機関にかかれず、自宅で耐えている方も多いはずですので、少しでも役に立てば、と思っています。

まだ作りかけで、思いついた順に書いていきます。

また、エビデンスが十分にない内容を多く含むことをご承知おきください。

この表をかかりつけの先生に見せて、試してみてもらうのもアリかもしれません。

医療従事者でない組織・人に勧められる高価なものに騙されないようにしてください。

新型コロナワクチン後のコロナ後遺症様症状に対してもお使いいただくことができます。

漢方については、
陰証:頭~胸が冷えて寒い
陽証:頭~胸は冷えない(手足は冷たいことあり)
と考えていただくと、大外しはしないと思います。
基本的には陽証の方の方が多いです。

症状 メモ 対処法
倦怠感
  • 多くの場合、増悪因子が慢性上咽頭炎
  • 不適切に対処すると筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に該当する状態まで増悪する。(*1)
  • 適切な対処で十分治療可能。
  • ペーシングで酸欠にならないことが何より大事。
  • 呼吸リハビリ(*3) PS別呼吸リハビリ
  • 鼻うがい・ミサトールリノローション
  • 上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)(*2)
  • 追加の倦怠感が出ることをしない
  • ゆるめる瞑想
  • セルフケア|頭痛の治し方(鎖骨から上のケア)
  • セルフケア|腰から脚のケア
  • 高圧酸素療法(酸素カプセルで効く場合あり。治るわけではなく一時しのぎ。)(*4)
  • できれば血液検査で亜鉛の量をチェックして、80より少なければ補充
  • できれば血液検査でフェリチンをチェックして、50より少なければ鉄をサプリや薬で補充
  • 市販のBCAA(アミノバイタル・アミノバリューなど)
  • 市販のプロテイン

  • 陽証の場合は、「柴胡剤+駆瘀血剤」or「黄連剤」が基本
  • (陽証、柴胡剤)大柴胡湯:左の肋骨の下に強い抵抗があり、便秘がちな人に
  • (陽証、柴胡剤)柴胡加竜骨牡蠣湯:左の肋骨の下に抵抗があり、胸が膨らんだように苦しく、少しのことに驚く人に。抑うつ傾向、不眠にも
  • (陽証、柴胡剤)四逆散:腹直筋(特に右側)の緊張がある場合に。基本処方の一つ。手首より手が冷たい人に。不安、緊張傾向に
  • (陽証、柴胡剤)柴朴湯:左の肋骨の下に抵抗があり、のどが詰まる場合に
  • (陽証、柴胡剤)柴陥湯:左の肋骨の下に抵抗があり、胸の詰まり、痛み、呼吸苦などを伴う場合に
  • (陽証、柴胡剤)柴苓湯:左の肋骨の下に抵抗があり、舌がぽってりしているときに。他の柴胡剤で効かない時に。値段が高い
  • (陽証、柴胡剤)抑肝散:腹直筋(特に右側)の緊張がある場合に。基本処方の一つ。手首より手が温かい人に。目の痛みにも
  • (陽証、柴胡剤)柴胡桂枝湯:左の肋骨の下の抵抗がそれほど強くない人に
  • (陽証、柴胡剤)柴胡桂枝乾姜湯:左の肋骨の下に抵抗があるが弱く、少し冷えがある人に。精神症状、不眠などにも
  • (陰証、柴胡含有)加味帰脾湯:左の肋骨の下に抵抗があり、全身の冷えがあり、気分の落ち込み・不安・不眠がある人に
  • (陰証、柴胡含有)抑肝散加陳皮半夏:腹直筋(特に右側)の緊張があるが弱く、悪心がある場合に。基本処方の一つ

  • (陽証、駆瘀血剤)桃核承気湯:左下腹部圧痛がある、便秘の強い人に。少量から開始
  • (陽証、駆瘀血剤)桂枝茯苓丸:左下腹部圧痛がある、便秘ではない人に
  • (陽証、駆瘀血剤)桂枝茯苓丸加薏苡仁:左下腹部圧痛がある、便秘ではない人で、皮膚症状がある人に
  • (陽証、駆瘀血剤)大黄牡丹皮湯:右下腹部圧痛がある、便秘の強い人に。少量から開始
  • (陽証、駆瘀血剤)腸癰湯:右下腹部圧痛がある、便秘ではない人に
  • (陽証、柴胡含有、駆瘀血剤)加味逍遙散:腹部の抵抗がそこそこで、精神症状、不眠がある人に
  • (陰証、駆瘀血剤)疎経活血湯:全身が冷え、四肢の痛みがある人に
  • (陰証、駆瘀血剤)当帰芍薬散:脚の冷えが強く、舌がぽってりしている人に。嗅覚障害や月経不順などにも

  • (陰証)小建中湯:全身の冷えがあり、腹直筋(特に右側)の緊張がある人に。陰証の基本処方
  • (陰証)黄耆建中湯:全身の冷えがあり、腹直筋(特に右側)の緊張があり、寒いのに汗をかく人に
  • (陰証)補中益気湯:全身の冷えがあり、胃腸の症状がある人に
  • (陰証)十全大補湯:全身の冷えがあり、お腹はふにゃふにゃ
  • (陰証)人参養栄湯:十全大補等の所見に加えて、精神症状か呼吸器症状を伴う人に

  • 【本】5分間背骨ゆらしで体じゅうの痛みが消える 自然治癒力に火をつけて、首・肩・腰痛・ひざ痛を解消!(DRT:ダブルハンド・リコイル・テクニック)
  • 鍼灸(特に頭皮鍼)
  • つまようじ鍼
  • 遠絡療法
  • 自律神経のセルフケア
  • クラリスロマイシン少量長期投与(副鼻腔炎と同じ治療)
気分の落ち込み
  • ヒラハタクリニックの後遺症患者さんでは87%が経験する症状
  • オンラインでは普通の眠剤・向精神薬の処方ができません
思考力の低下
ブレインフォグ
  • 脳の炎症、慢性上咽頭炎が原因か
  • ペーシングで酸欠にならないことが何より大事。
  • 呼吸リハビリ(*3) PS別呼吸リハビリ
  • 鼻うがい・ミサトールリノローション
  • 上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)(*2)
  • 疲れることをしない(疲れないことはOK)
  • 高圧酸素療法(酸素カプセルで効く場合あり)(*4)
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • (陽証)温清飲
  • (陰証)四物湯
  • (陰証)人参養栄湯:体が弱り切っていて、腹壁がふにゃふにゃな人に
  • 鍼灸(特に頭皮鍼)
  • ケタス
  • アデホス
  • セロクラール
  • MCASの薬(抗ヒスタミン剤、H2ブロッカー、ロイコトリエン拮抗薬)
  • つまようじ鍼
  • 遠絡療法
  • クラリスロマイシン少量長期投与(副鼻腔炎と同じ治療)
  • メトホルミン
頭痛
  • 通常の痛み止め(NSAIDs)が効かない人も多い
息苦しさ
呼吸苦
  • CT等で異常がない場合、肺の血流が問題か
  • 胃酸逆流による症状の場合も少なくない
体の痛み
  • 痛い部分はあちこちに移動する
  • 線維筋痛症の併発に注意が必要だが、多くの方は併発していない
不眠
  • 胃酸逆流によって不眠になるケースも少なくない
  • オンラインでは普通の眠剤・向精神薬の処方ができません
  • 一般的な睡眠薬
  • 呼吸リハビリ(*3)
  • 高圧酸素療法(酸素カプセルで効く場合あり)(*4)
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • (陽証、柴胡剤)柴胡加竜骨牡蠣湯:左の肋骨の下に抵抗があり、胸が膨らんだように苦しく、少しのことに驚く人に。抑うつ傾向、不眠にも
  • (陽証、柴胡剤)抑肝散:腹直筋(特に右側)の緊張がある場合に。基本処方の一つ。手首より手が温かい人に。目の痛みにも
  • (陽証、柴胡剤)四逆散:腹直筋(特に右側)の緊張がある場合に。基本処方の一つ。手首より手が冷たい人に。不安、緊張傾向に
  • (陰証)酸棗仁湯:疲れすぎて眠れない方に
  • (陰証)桂枝加竜骨牡蠣湯
  • 寝る前に水を飲まない
  • 甘いもの・油ものをできるだけ避ける
  • カフェイン、炭酸は禁止
動悸
  • 立ち上がるだけで脈拍が130くらいに跳ね上がる場合は、体位性頻脈症候群(POTS)を疑う。
食欲不振
  • 食べたいのに食べられない
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • (陽証の虚証)抑肝散加陳皮半夏:腹直筋の右側が(少し)硬いときに
  • (陽証の虚証)半夏瀉心湯:心窩部の圧痛が強いとき、顔・頭の熱さがあるときに
  • (陰証)六君子湯:嘔気があるときに
  • (陰証)四君子湯:嘔気がない場合に
  • 六君子湯倍量投与もアリ
  • 保険が心配なら六君子湯+四君子湯もアリ
  • (陰証)桂枝加芍薬湯:すぐに膨満感が出て少量ずつしか食べられないとき
  • スルピリド(ドグマチール):副作用に注意。良くなっても急にやめないように
  • 自律神経のセルフケア
発熱
  • かなり多い
  • 38度近くまで上がる人も
  • それほどだるくなければ、「再感染では?」と驚かなくて大丈夫
  • 膵臓が弱い場合も。(参考:ヒラハタクリニック|膵臓の未病
  • ペーシングで酸欠にならないことが何より大事。
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • あまり頭を使わないようにする(スマホも控える)
  • ケンカしないようにする
  • 鼻うがい・ミサトールリノローション
  • 上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)
  • 息が切れない・疲れが出ない範囲で短時間動く。
嗅覚・味覚障害
  • 人によっては死にたくなるほどつらい
  • 変なにおい(煙や焦げのにおい)がするときは、ほぼ確実に慢性上咽頭炎がある
  • できれば血液検査で亜鉛の量をチェックして、80より少なければ補充
  • 鼻うがい・ミサトールリノローション
  • 上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • (陰証、駆瘀血剤)当帰芍薬散
  • 嗅覚トレーニング
  • 鍼灸(特に頭皮鍼)
脱毛
  • できれば血液検査で亜鉛の量をチェックして、80より少なければ補充
  • 発症から2~3か月後に始まり、半年以内に一旦収まる人が多いが、亜鉛が不足していると再び脱毛が生じることがある
  • ツルツルまで行くことは、かなりまれ
  • 全体にまんべんなく抜けることがほとんど
  • 亜鉛減少傾向は数年続くことが多そう
  • 亜鉛(プロマック、ノベルジン)
  • 証にあった漢方(「倦怠感」の項を参照)
  • エバステル
  • セファランチン
  • フロジン
  • ステロイド(アンテベートローションなど)
  • (やってくれる皮膚科はほとんどないが)液体窒素療法
  • 後遺症そのもの、咳喘息、胃酸逆流など、原因は様々
  • 普通の咳止めも意外に効く場合あり
  • ステロイド吸入薬:喘息・咳喘息に
  • ステロイド/β2刺激薬(ICS/LABA)合剤:喘息・咳喘息に
  • ロイコトリエン拮抗薬
  • メジコン
  • リフヌア
  • (陽証)麻杏甘石湯:体が強い人の痰が出ないタイプの咳に。
  • (陽証)五虎湯
  • (陽証)神秘湯:左の肋骨の下に抵抗があり、痰がでないタイプの咳で、胸脇苦満があるときに。
  • (陰証)麦門冬湯:のどが渇く方に。お湯に溶かしてちびちび飲むとよい
  • (陰証)苓甘姜味辛夏仁湯:弱っている人に。鼻水・水っぽい痰にもよい。
  • 寝る前に水を飲まない
  • 甘いもの・油ものをできるだけ避ける
  • カフェイン、炭酸は禁止
  • PPI(ネキシウム、オメプラール、タケプロン)
  • タケキャブ
  • ガナトン、ガスモチン
光過敏
音過敏
  • 無治療だと数年続くことも多い
  • ちゃんと治るので焦らないこと
アレルギー
  • コロナ後遺症になると、アレルギーが増えることがよくある
  • 抗アレルギー剤
  • (陽証)小青竜湯:元気な人の鼻水に
  • (陰証)苓甘姜味辛夏仁湯:弱っている人の鼻水に
筋肉のピクつき
(線維束性収縮)
  • 基本的には酸欠による症状
  • 目の周囲などの場合は単に寝不足のことが多い
  • コロナ後遺症の場合は目の周り以外に出る
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)を心配する人が多いが、ヒラハタクリニックでは合併例なし。まず違うので心配し過ぎないように。
血管の浮き、痛み
  • 基本的には酸欠による症状
  • 体調が悪いと出る
耳鳴り
  • 聴覚障害が原因のことがあるので、まずは耳鼻科で検査を受けることが必要
脱力
  • 微小血栓に伴う酸欠で筋肉に力が入らなくなる可能性。
  • 漢方薬に含まれる甘草や、ピルなどの服用に伴う偽アルドステロン症に注意。
    カリウムの測定は必須。
周囲の無理解 社会への啓もうはこちらで頑張るので、頑張りすぎないで。
  • 厚労省|新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント 第3.0版
  • 東京都|新型コロナウイルス感染症 後遺症
  • 東京都|新型コロナウイルス感染症 企業向け後遺症リーフレット 令和5年6月発行
  • 東京都|新型コロナウイルス感染症 後遺症リーフレット(第2版) 令和4年9月発行
  • 東京都|新型コロナウイルス感染症 保護者向け後遺症リーフレット 令和5年9月発行
  • 東京都|新型コロナウイルス感染症 教職員向け後遺症ハンドブック 令和5年9月発行
  • 新型コロナ後遺症 完全対策マニュアル
  • などの印刷物の必要な部分をコピーするなどして会社の上司や家族などに見せると理解されやすい場合も。
    *1 コロナ後遺症とME/CFSとの関連に言及した論文(の一部)

    1. Komaroff AL, Bateman L. Will COVID-19 Lead to Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome? Front Med. 2021;7:606824. doi:10.3389/fmed.2020.606824
    2. Nath A. Long-Haul COVID. Neurology. 2020;95(13):559-560. doi:10.1212/WNL.0000000000010640
    3. Komaroff AL, Lipkin WI. Insights from myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome may help unravel the pathogenesis of postacute COVID-19 syndrome. Trends Mol Med. 2021;27(9):895-906. doi:10.1016/j.molmed.2021.06.002
    4. Phillips S, Williams MA. Confronting Our Next National Health Disaster — Long-Haul Covid. New England Journal of Medicine. 2021;385(7):577-579. doi:10.1056/NEJMp2109285
    5. Kedor C, Freitag H, Meyer-Arndt L, et al. Chronic COVID-19 Syndrome and Chronic Fatigue Syndrome (ME/CFS) following the first pandemic wave in Germany – a first analysis of a prospective observational study. Published online February 8, 2021:2021.02.06.21249256. doi:10.1101/2021.02.06.21249256
    6. Rubin R. As Their Numbers Grow, COVID-19 “Long Haulers” Stump Experts. JAMA. 2020;324(14):1381-1383. doi:10.1001/jama.2020.17709
    7. Petracek LS, Suskauer SJ, Vickers RF, et al. Adolescent and Young Adult ME/CFS After Confirmed or Probable COVID-19. Frontiers in Medicine. 2021;8. Accessed March 6, 2022. https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fmed.2021.668944
    8. Twomey R, DeMars J, Franklin K, Culos-Reed SN, Weatherald J, Wrightson JG. Chronic Fatigue and Postexertional Malaise in People Living With Long COVID: An Observational Study. Phys Ther. 2022;102(4):pzac005. doi:10.1093/ptj/pzac005

    *2 上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)の関連論文

    1. Imai, K. et al. Epipharyngeal Abrasive Therapy (EAT) Has Potential as a Novel Method for Long COVID Treatment. Viruses 14, 907 (2022).
    2. Nishi, K. et al. Epipharyngeal Abrasive Therapy (EAT) Reduces the mRNA Expression of Major Proinflammatory Cytokine IL-6 in Chronic Epipharyngitis. International Journal of Molecular Sciences 23, 9205 (2022).

    *3 呼吸リハビリの関連論文

    1. Stavrou, V. T. et al. Eight Weeks Unsupervised Pulmonary Rehabilitation in Previously Hospitalized of SARS-CoV-2 Infection. J Pers Med 11, 806 (2021).

    *4 高圧酸素療法の関連論文

    1. Robbins, T. et al. Hyperbaric oxygen therapy for the treatment of long COVID: early evaluation of a highly promising intervention. Clin Med (Lond) 21, e629–e632 (2021).
    2. Zilberman-Itskovich, S. et al. Hyperbaric oxygen therapy improves neurocognitive functions and symptoms of post-COVID condition: randomized controlled trial. Sci Rep 12, 11252 (2022).

    本チートシートについては、 CCライセンスの「CC BY-ND」 とし、2022/4/18時点での著作権者は平畑光一とする。

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